可愛がりたい、溺愛したい。




「なんで……」


こんなに胸が騒がしくなるんだろう。


胸に手を当てるとよくわかる。
平常時よりも明らかに速いことが。



好きなんて……ありえないはずなのに。


さっきから葉月くんの顔が頭から離れないのはどうしてだろう…?


いったん自分を落ち着かせようと思い、フウッと深呼吸すると。



いきなり保健室の扉が開く音がした。


誰か来たっぽい。

もしかして古川先生かな。


それともケガ人?体調不良の人?


音がしたのに中に入ってくる気配がなく、心配になり入口のほうへいくと……。



「え……、

なんで依生くんがここに……」


壁にもたれかかって、明らかに具合が悪そうな顔色をしている。


わたしの姿を見つけると、ゆっくりふらついた足取りで近づいてきて……。



「……帆乃」


弱々しく名前を呼びながら、わたしに身体をあずけるように倒れてきた。