「はい、足出して」
擦りむいた左膝のあたりを消毒して、丁寧にティッシュで拭いて、大きめの絆創膏を貼ってくれた。
「葉月くんって意外と器用なんだね」
「べつにこれくらいじゃ器用なんて言えないよ。どちらかっていうと俺不器用なほうだし」
そう言いながら、絆創膏が剥がれないようにテーピングをしてくれた。
たぶん、あの転んだ場面で葉月くんが助けてくれなかったら、何もできずにいたと思う。
この歳になって転んだくらいで情けない。
「あ、あの、助けてくれて本当にありがとう」
「どーいたしまして。
たぶん先輩のことだから転んでみんなに注目されて、パニックになってんのかなって。
だから俺が助けてあげないとって思ったら身体が自然と動いてたんだよねー」
「気づいてくれたの…?」
「そりゃーもちろん。
好きな人の性格くらい把握してないとね」
なんだ…意外といいところあるんじゃん。
少し見直した。

