【社内公認】疑似夫婦-私たち(今のところはまだ)やましくありません!-

 体の前に投げ出していた手を優しく握られる。心臓が未だかつてない速さでバクバクと脈打っている。私と同じく横になっている森場くんは私の手を握ったまま柔らかく微笑んで、眠そうな声で囁く。

「〝疑似〟とはいえ、せっかく夫婦になったんだからさ。……夫婦にしかできないことしようよ」

(……ええ――!?)

〝夫婦にしかできないようなこと〟って……!?

 私の邪まな思考は爆発した。というか、この状況でこう言われて、それ以外の想像ができる人がいるのならお目にかかりたい。少なくとも私には、ふしだらなお誘いをされているようにしか聞こえなかった。

(もしかして〝仕事〟と言いつつ下心があったの? 私と同じ気持ちでいたっていうこと? ……それってどういうこと!? どうしよう頭が働かない……!)

 大混乱の私はとりあえず、一応、平静を装って確認する。

「……ふ……〝夫婦にしかできないようなこと〟って何……?」

 答えによっては、このまま美味しく食べられてしまうパターンのやつだ。そうなったらどうしよう?

 森場くんはすぐに答えてくれず、〝じーっ〟と、意味深な目で私のことを見つめてくる。

(…………何―!?)

 沈黙に耐え切れず、今にも泣き出しそうな気持ちだった。森場くんのことがわからない。〝体目的〟だったなんて思いたくないけど、そもそも私って彼にとってどういう存在? いつそういう対象になったの? 私の想像通りの展開になったら、応えてしまっていいの!?

(わからない……!)

 沈黙に耐えかねて、ついに私から口を開いた。