【社内公認】疑似夫婦-私たち(今のところはまだ)やましくありません!-

 不満を垂れる森場くんをなんとか先に脱衣所に押し込み、私は自分の荷物の整理をした。けれど、シャワーの音が聞こえ始めてから気が気じゃなくなってしまって、何も手がつかないでいる内に森場くんがお風呂から出てきてしまった。

「お風呂お先でした」

「はい……」

 お風呂上りの森場くんのことは直視できなかった。黒いTシャツにだぼっとしたグレーのスウェットパンツ。いつも柔らかくセットされている髪が濡れてペタッとなっている様は、一目見ただけで〝エロい!〟と自分の中で判断した。これはまじまじと見つめていいものじゃない。ろくに目も合わせないまま、私は森場くんと交代でそそくさと脱衣所へ向かった。

 主張を通してお風呂の順番を後にしてもらったはいいけど、これはこれで恥ずかしいことになると後で気が付いた。まず脱衣所。ここで森場くんが裸になったのかと思うとなんだか一気にやましいことをしている気になって、服を脱ぐまでにかなり時間がかかった。

 続いて浴室。こっちも、〝森場くんこのシャンプー使ってるんだ~へぇ~〟などと呑気に思い、それが普段同僚として接しているだけでは知り得ないことだと思うと一気に恥ずかしくなった。

 長風呂をしたわけでもないのにのぼせて、お風呂を出る。

 リビングに戻ってきた私を見るなり、森場くんは驚いていた。

「え……大丈夫? 顔赤すぎじゃ……」

「大丈夫、大丈夫……」