私は〝手を繋ぐくらいなんてことない〟という顔を作って、自分の手を差し出した。
「……今日からしばらく〝夫婦〟ですもんね。手くらい繋ぎますよね」
「うん」
森場くんのすらっとした綺麗な右手が私の左手を包み込む。大きな手のひら。体温が高い。
(……うわぁ)
紛れもなく、男の人の手だと思った。握るとゴツゴツしていて、自分の手とは明らかに違う。しばらく私の頭の中は〝うわぁ〟ばかり。
手を繋いですぐは私も森場くんも無言だった。会社帰りのサラリーマンや、犬を散歩させているお姉さんなど、ちらほらと人とすれ違う。夜道を手を繋いで歩く私たちは、傍から見れば恋人同士か夫婦に見えるんだろうか。
隣で森場くんがくすぐったそうに笑った。
「なっちゃん……手、ちっちゃいな」
「……普通だと思う」
「ちっちゃいよ。……不思議だなぁ。子どもの時はそう変わらなかったのに」
「ああ……集団登校とか、よく手繋いでたね。そういえば」
子どもの頃の話になると自然と沈黙は消え去っていった。彼と幼馴染でよかった。昔の思い出と照らし合わせれば、どうにかこの照れ臭さを誤魔化すことができる。
もしも幼馴染でもなんでもなく、〝ただの同僚だったら〟と思うと、今この間をもたせられた自信がない。……まあそもそも、幼馴染じゃなければこんなことにはなってないか。
子どもの頃の話に花を咲かせ、手を繋いでいる状態にある程度慣れてきた頃。森場くんのほうから唐突に、こう切り出してきた。
「会社でも話してた結婚のことだけど――――俺、本気だから」
「……今日からしばらく〝夫婦〟ですもんね。手くらい繋ぎますよね」
「うん」
森場くんのすらっとした綺麗な右手が私の左手を包み込む。大きな手のひら。体温が高い。
(……うわぁ)
紛れもなく、男の人の手だと思った。握るとゴツゴツしていて、自分の手とは明らかに違う。しばらく私の頭の中は〝うわぁ〟ばかり。
手を繋いですぐは私も森場くんも無言だった。会社帰りのサラリーマンや、犬を散歩させているお姉さんなど、ちらほらと人とすれ違う。夜道を手を繋いで歩く私たちは、傍から見れば恋人同士か夫婦に見えるんだろうか。
隣で森場くんがくすぐったそうに笑った。
「なっちゃん……手、ちっちゃいな」
「……普通だと思う」
「ちっちゃいよ。……不思議だなぁ。子どもの時はそう変わらなかったのに」
「ああ……集団登校とか、よく手繋いでたね。そういえば」
子どもの頃の話になると自然と沈黙は消え去っていった。彼と幼馴染でよかった。昔の思い出と照らし合わせれば、どうにかこの照れ臭さを誤魔化すことができる。
もしも幼馴染でもなんでもなく、〝ただの同僚だったら〟と思うと、今この間をもたせられた自信がない。……まあそもそも、幼馴染じゃなければこんなことにはなってないか。
子どもの頃の話に花を咲かせ、手を繋いでいる状態にある程度慣れてきた頃。森場くんのほうから唐突に、こう切り出してきた。
「会社でも話してた結婚のことだけど――――俺、本気だから」


