乙原さんは社外の人だから、変な誤解をされたところで大きな影響はない。だけど、これが社内の人だったらと思うとゾッとした。〝付き合ってるの?〟なんて噂が立とうものなら、社内に数多くいる森場ファンからどんな目で見られるか……。ただでさえプロジェクト入りで悪目立ちしているのに。
森場くんは仕事に熱が入ると距離感がおかしくなるということがわかったから、プロジェクトルームの外で迂闊に彼に近寄るのはよそう……と心に決めたのだった。
エレベーターがプロジェクトルームのある十五階に到着し、〝開〟ボタンを押して彼に先に降りるよう促す。森場くんも既に反対側のパネルの〝開〟ボタンを押していて「女性が先にどうぞ」と促してくるので、結局私が根負けして先に降りることになった。ナチュラルに女性扱いされて少し照れてしまったことは内緒だ。
浮足立つ私に対し、森場くんは仕事の話をする。
「そういえば、打ち合わせの終盤に吉澤さんが出してくれた案なんですけど」
「ええ」
「めちゃくちゃ良いと思います。あれなら確かに一晩眠って試してもらうことができるし、製品体験としては最高のシチュエーションですよね」
……褒められた!
ワンクッション置いてから褒められたことに気付いた私は、一気に気持ちが高揚した。
「ほんとですか……? ただの思い付きなので、どうかなぁと思って……」
森場くんは仕事に熱が入ると距離感がおかしくなるということがわかったから、プロジェクトルームの外で迂闊に彼に近寄るのはよそう……と心に決めたのだった。
エレベーターがプロジェクトルームのある十五階に到着し、〝開〟ボタンを押して彼に先に降りるよう促す。森場くんも既に反対側のパネルの〝開〟ボタンを押していて「女性が先にどうぞ」と促してくるので、結局私が根負けして先に降りることになった。ナチュラルに女性扱いされて少し照れてしまったことは内緒だ。
浮足立つ私に対し、森場くんは仕事の話をする。
「そういえば、打ち合わせの終盤に吉澤さんが出してくれた案なんですけど」
「ええ」
「めちゃくちゃ良いと思います。あれなら確かに一晩眠って試してもらうことができるし、製品体験としては最高のシチュエーションですよね」
……褒められた!
ワンクッション置いてから褒められたことに気付いた私は、一気に気持ちが高揚した。
「ほんとですか……? ただの思い付きなので、どうかなぁと思って……」


