至近距離でまっすぐ見つめられながら意見を求められると、〝動揺している私のほうがおかしいんだろうか〟と不安になってしまうけど、そうじゃない。絶対に森場くんのほうがおかしい。

「そうじゃなくてっ……顔が近すぎるので、肩、放してください……」

「あ! すみません、つい」

 これが〝つい〟の距離感ですか。ドキドキしてしまったものの、〝他の女の子にも同じようにしてるのか……〟と複雑な気持ちになる。

 パッと肩を解放されて適切な距離に戻ると、正面の席で私たちを見ていた乙原さんがぽそりと言った。

「付き合ってる……?」

「付き合ってません!」

 思わぬ疑惑に驚いた私が即刻否定すると、森場くんはそれに合わせてケロッとした顔で答えた。

「だそうです」

「森場くん!」

 ちゃんと否定して!