「あ、藍沢さん・・」


今まで忘れ物なんてよっぽどじゃないとしたことがなくて、今日に限ってしたのは偶然じゃなかったのかもしれない。


「寺島くん・・」


なんだかんだで保健室の一件以来ちゃんと顔をみたのははじめてだ。


でも高橋くんもいたし正直きまずくて、このチャンスを逃したらまたいつ話せるかわからないのに、言葉がでてこなかった。




「俺さきいくわ」


沈黙をやぶったのは高橋くんだった。


高橋くんは教科書などをもつとあっという間にいなくなってしまった。