あれが、洋輔の本性だ。
優しくして、自分を好きにさせて、お姉ちゃんが唯一頼りにしていたのを逆手にとった。
このときはじめて思ったんだ。
お姉ちゃんがかわいそうだと。
でも、それでもきっとお姉ちゃんは洋輔のことを嫌いになんてなれないだろう。
だから決めたんだ。わたしが嫌われ役になろうと。
「あれ、お姉ちゃん帰ってたんだ。あ、それより報告。わたし洋輔と付き合うことになったんだー」
こういったときのお姉ちゃんの顔を忘れることはないだろう。
そのあと部屋から泣き叫んでる声が聞こえたとき、わたしの心もちぎれそうなくらい苦しかったんだ。



