「本当にごめん。でも、いま俺の大切な子がいなくなって・・・」
「そう・・・龍希にもそんな子ができたのね。よかった」
「え?」
「あの頃の龍希はね、見てられなかったから。寂しさを埋めるために女の子と付き合ったりしてたでしょ?でもなにも楽しそうじゃなかった。結局寂しそうだったから。だからそんなに必死になれる相手がみつかってよかった」
「おばさん・・」
そんな風に思ってくれてたなんて知らなかった。
たしかにお母さんが死んでしまってから俺はぐれた。
母さんに似ている子とわざと付き合ったりした。傷つけたこともあった。
それでも、なにも変わらなかった。
ただむなしさが溢れるだけだった。
だから変わりたい、そういう思いもあってこっちに転校してきたんだ。



