わたしの願い



「愛もね、同じ車に乗ってたのよ。でもあなたは助かった。それはね、あなたの両親が必死に助けてくれたからなの。

わたしもあとから現場にいた人に聞いたんだけどね、お姉ちゃんも旦那さんも血だらけで。でもあなたは後部座席にいてチャイルドシートにいたからそこまで衝撃にも合わなかった。

ただそれでも自分では動くことができなくて。そしたらお姉ちゃんたちがほとんど意識が朦朧とする中後ろに手を伸ばしてあなたを抱きかかえて、窓の外にいるレスキューにあなたを渡したの。

そして離れた直後に車のガソリンが引火して車が爆発した。わたしが駆け付けたときにはもう炎は消えてて、お姉ちゃんと旦那さんは判別できないくらいだった」


そうやって話すお母さんは泣いていた。


知らなかった。


そんな記憶わたしには全然ない。