*
次の日、渉くんが駅まで見送りにきてくれた。
「愛、じゃあな。待ってるからな」
「渉くん、本当に助けてくれてありがとう。またきます」
電車に揺られること一時間半。最寄りの駅について改札をでるとお母さんがいた。
「おかあ、さん?」
「愛、おかえり」
「どうして?」
「まってたのよ。さ、帰りましょ」
「うん」
こうして、お母さんの隣を歩くのはいつぶりだろう?
いつの間にわたしはお母さんの背を抜かしたんだろう。
「愛、帰ったら話したい事があるの。今までずっと話そうと思って話せなかったことがあって」
「うん、わかった」



