わたしの願い



「いや、ほんとすごいよ。今度教えてほしいくらい」


でもわたしがそんなことを思ってるとも思わずに話しかけてくる。


「いや、そんな教えるとか、わたしには無理です」


「そっかー・・・なんかごめんね」


「い、いえ」




「おーい、龍希!いくぞ!」


そんなとき助け船のように寺島くんを呼ぶ声がした。


「いまいく。じゃあね藍沢さん」


そういって友達のほうにいってしまった。



はじめてだった。クラスメイトに挨拶されたのは。


じゃあねなんていわれたのはいつ以来だろう。



でも今日できっと寺島くんもわたしに話しかけようとはしてこないだろう。


あんな冷たい反応しちゃったし、たぶんあのあとわたしのことをクラスの人からきいたりして、暗いなって思われるだろうから。