席に戻るときふと前をみると寺島くんと目があった。
彼の席は廊下側の一番後ろの席。
そんな遠い席なのにしっかりと目があったのがわかった。
そして目が合った瞬間にこっと笑った。
――ドキドキ
なぜかわからないけれど胸が痛くなって。
わたしは慌てて席に戻った。
きっと黒板をみていて、たまたまわたしがそこに立っていたからそれで目が合ってしまって、仕方なく笑ってくれただけだろう。
「さすががり勉」
「勉強がお友達だもんね」
こそこそとそんな声がするのが聞こえたけれどそんなこと気にならないくらい、彼の笑った顔が頭から離れなかった。



