帰り際、駅で電車を待っていた。

桜の花はすっかり散ったけれど、心地いい春の陽 気が辺りを包む。

「ふわぁ」

春って、どうしても眠くなるんだよね。

でも、今日一日中ずっとポケットに入れたメモ用紙のことが気になって仕方なかった。


どんなことが書いてあるんだろう。 小鳥遊君のだから……気になる。


ポケットに手を入れると、カサッとしたものが手に触れる。

それをポケットから出した時、ホームに強い風が吹いた。

「あ……っ」

声を発した瞬間、メモ用紙が数メートル先まで飛んで行った。


拾い上げようとしてメモが広がっていることに気がつく。そして中身が見えてしまった。


「うそ……」