あー、私のバカ。すぐに追いかけていれば、渡せたかもしれないのに。バカバカ。 曲がったことが大嫌いな私は、イジメられている男子をかばったり、高校受験の日の朝、痴漢に遭っている子を助けたり。 困っている人を見ると放っておけない性格だ。 それなのに……相手が小鳥遊君だったから、優柔不断な私が顔を出してしまった。 「どうしよう、このメモ……」 とりあえず明日返そう、かな。 そう思ってメモを制服のポケットに入れた。