君と恋する通学時間


「買い物?」

私が押しているカートの中身を見ながら小鳥遊君がたずねる。

「う、うん。家のお手伝いで」

「へえ、えらいんだな」

「そ、そんなことないよっ。全然、普通だよ」

「いや、すげーよ、森口は」

そう言って小さく笑う小鳥遊君。

その顔は、どこか傷ついているようにも見える。

それにいつもなら目が合うのに、今日は合わない。

合いそうになるとすぐにそらされてしまう。

「……じゃあな」

「え?」

スタスタと去って行く小鳥遊君の背中。

明らかに今までとちがって、態度がへんだ。

私がこの前あんなことを言ったからだ。

もう、無理だって……。

そんなことを言ったら傷つくのは当然なのに、あの時の私はそんなことも考えず自分の涙を隠すのに必死だった。

よそよそしい小鳥遊君の態度に、さみしさがつのる。

もしかすると、あの時の小鳥遊君もこんな気持ちだったのかな。

いやいや、それはないよね。

だって、小鳥遊君が仲良くしたい女の子は他にいるんだから。