いつもなら四駅目で小鳥遊君の派手な男友達が二人乗ってくるのに、今日は二人とも乗ってこなかった。


友達といる時の小鳥遊君は、ふとした時に笑顔を見せてくれることもあって。

その笑顔をはじめて見た日は、胸が熱くなった。


小鳥遊君が電車を降りようとしたその時、小鳥遊君の制服のズボンのポケットから 白い小さなメモ用紙が落ちるのが見えた。


「あ」


とても小さな私の声は、誰の耳にも届かない。


とっさにそれを拾って追いかけようとしたけれど、小鳥遊君は電車を降りたあとだった。


どうしよう、降りて渡すべき?

でも、そうすると私が遅刻しちゃう。

でも、大事なものかもしれないし……。


折りたたまれたメモ用紙を手に、あたふたしてしまう。
そうこうしているうちに扉が閉まってしまった。