それから同じ駅を利用していることを知って、偶然にも同じ車両に乗っていること に気がついた。

気になり出したら小鳥遊君のことしか見えなくなって……とにかく、 あれ以来私はおかしい。

小鳥遊君のことが気になって仕方ないの。


──ガタンゴトン。

四月上旬、いつものように電車に揺られながら学校へと向かう。


私たちが利用するのは下り方面だから、比較的電車の中は空いている。


それでも座席には座れないけど、つり革に手が届かないから扉の近くの手すりにつかまるのが私のいつものスタイル。


そしてすぐ近くには、つり革につかまって立つ小鳥遊君がいる。


そこが小鳥遊君の定位置で、小鳥遊君は耳にイヤホンをして音楽を聴いていた。


私はスマホをいじる振りをしながら、そんな小鳥遊君から目が離せない。


綺麗な横顔。小顔でスタイルもいいし、カッコいい。モテるよね、絶対に。

好きな人とか、彼女とか……いるのかな。いるよね、これだけカッコよかったら。

じゃなきゃおかしいよ。でも、いなければいいのにって願っている私がいる。


べつに小鳥遊君とどうにかなりたいとか、そんなんじゃない。


だって私とじゃ、とても釣り合わないもん。

ぼんやりそんなことを考えていると、アナウンスが小鳥遊君の高校の最寄り駅を知らせた。