小鳥遊君のことを知ったのは、ほんの三カ月前。きっかけは本当にささいなことだった。

高校一年生の寒い冬の日、一月下旬頃の出来事。

夕方の駅のホームでベンチに座ってスマホを触っていると、目の前を一人の男子高校生が通りすぎた。

それが小鳥遊君だった。


どうやら私と同じ高校に通う男友達と待ち合わせていたようで、遠くにいる友達に「よう」と言いながら私の目の前を通りすぎた。


普段なら気にならないのに、通りすぎる時にとてもいい香りがしたから、ふと顔を上げたんだ。

すると、彼も私のほうを向いて思いっきり目が合って。


パッチリ二重まぶたの目に、スッと通った鼻筋。
薄い唇。綺麗に整えられたシュッとした眉毛。力強い視線と、カリスマ性のあるオーラ。


派手だけど、チャラチャラしているようには見えなくて、どちらかというとクールな印象。


目が合った瞬間ドキドキした。