「落とした俺が悪かったんだし」
「そ、そんなことないです! 小鳥遊君は、悪くないよ!」
思わず強い声が出た。キョトンと目を見開く小鳥遊君。
「なんで、俺の名前を知ってんの?」
「え?」
あ!
や、やばっ。思わず口走っちゃった。
初めて話すのに、名前を知ってるなんて変だよね。
ただでさえ私にいいイメージを抱いていないはずだというのに、余計嫌われちゃう。
なんてバカなの、私!!
「え、えっと! ま、前に電車の中で友達と話してるのが聞こえて、たまたま知ったんです!」
苦しまぎれの言い訳。
普通なら、たまたま名前を知ったからって覚えてない。
小鳥遊君だから……。
でも、そんなことは言えない。言えるわけがない。
「あ、そうなんだ。っていうか、マジでなんでもしてくれんの?」
「え?」
「さっき、そう言ったよな? ほんとに、なんでもしてくれんの?」
そんな風に言いながら私の目をまっすぐに見てくる小鳥遊君の顔は、まだほんのり赤い。
「はい! 私にできることなら!」
「だったらまず、その敬語やめて。むず痒いっつーかさ」
頭を掻きながら小鳥遊君が言う。
「あ、う、はい」
「言ってるそばから直ってねーし」
そう言って小鳥遊君は優しく笑った。
こんな私に笑顔を向けてくれるなんて。
その笑顔にドキッとしてしまう。



