「あ、あの」
朝のホームはざわざわしていて、私の声は雑踏にかき消された。
だけど小鳥遊君の耳には届いたようで、私の目をじっと見つめたまま微動だにしない。
「と、突然ごめんなさい。私は森口未愛っていうんですけど、決してあやしい者ではなくて。あの、その……お話がありまして」
「え……?」
それまで黙ったままだった小鳥遊君が口を開いた。
見知らぬ人にいきなり声をかけられて、それはそれは不思議そうな顔をしている。
当たり前だ、いきなりなんなんだって思うよね。
っていうか、思いっきりあやしい 奴だよ私。
そんな目で見られているような気がする。
「話っていうのは」
ポケットに手を入れてメモ用紙をつかむ。
そして取り出そうとした時、ちょうど電車がやってきた。
大きな音が辺りに響いて、ゆっくりと停車する電車。



