やってきた電車に乗り込んで、扉付近の手すりを掴んだ。
電車がゆっくり動き出すと、窓から外の景色を眺めた。
都会でも田舎でもなく、ただ道路が見えるだけの平凡な風景が広がっている。
ぼんやりしていると、電車はいつのまにか小鳥遊君の高校の最寄り駅に着くところだった。
スピードがゆるやかになって、ホームにいる人の顔がはっきりと見え始める。
近くに高校があるので、高校生の姿が多く見られた。
その中でいつも無意識に小鳥遊君の姿を探してしまうのは、会いたいと思っているから。
好き、だから──。
「あ」
まさにその時、小鳥遊君の姿を見つけた。
大勢の人の中に紛れていたけど、はっきりとわかった。
胸の奥がキュンとうずく。
ねぇ小鳥遊君。好きです……そう言ったら、きみはどんな顔をするかな。
メモを返そう。
そう決意してから、もう五日が経った。
でもなかなか行動に移せなくて、まだ朝の電車をずらしてしまっている。



