「……美蓮が俺から離れようとするから」
そう言ったユウの瞳は先程とは違い、切なげに揺れていた。
どうして、ユウがそんな顔するの?
そういう時だけ、名前を呼び捨てにするなんてズルい。
わたしのことなんて幼なじみとしか思っていないはずなのに。
「だって、それは……」
言葉を紡ごうとした時、ふわりと柑橘系の香りが鼻を掠めた。
あまりにも突然すぎて抱きしめられているということを理解するのに時間がかかってしまう。
「俺が美蓮いないとダメなの知ってるでしょ?」
「っ、」
わたしの肩に頭を埋めながらぼそりと呟かれた言葉。
ほら、またそうやって甘い言葉でわたしをユウという名の底なし沼にハマらせていくんだ。
「俺のそばからいなくなんないで」
弱々しい声に心臓を鷲掴みにされているかのように胸がぎゅっと締め付けられて苦しくなる。
いつもわたしのそばから勝手にいなくなるのはユウなのに。
わたしはずっとユウのそばにいたいのに、それを許してくれないのはユウでしょ?



