こんなやつに惑わされちゃダメだってわかっているのにどうしても好きという気持ちは変えられない。
本能が好きだと言っている。
たとえ、彼女がいたって、一番になれなくなったって諦めることすらできないんだからしょうがない。
「……」
「ほら、返事は?」
「……言わないもん」
「素直じゃないなあ。まあかわいいからいいけど」
かわいいなんて普通に言えてしまうコイツの頭はどうなっているのかわたしにもわからない。
「うるさい」
「ねえ、美蓮」
「ん?」
「ありがとう」
「へ?」
「美蓮の寝顔、さいこーに癒されたよ」
またよくわからない言葉を残したまま、ユウはベッドから起き上がり、保健室から出ていってしまった。
ま、まって……!?
そういえば、わたしユウに寝顔みられたのか!
忘れてたよ。寝顔くらい見られたことあるけど、高校になってからはなかったから何だか恥ずかしい。
ドクンドクン、と大きく高鳴っている鼓動の音は君に届くことなんてないんだろうな、と思い、切なく胸が疼いた。
自分の体に残っているユウのかすかな香りに安堵し、涙が出そうだった。わたしはどんなに頑張ってもユウのことをひとりじめできない。



