「うるさい。これはユウにとかじゃなくて……」
「ぷっ、ほんと昔から素直じゃないよね」
ユウの余裕そうな表情を見ていたくなくて下げていた視線。
だけど、ユウがわたしの顎をくいっと持ち上げたせいで再び絡み合う視線。
「……」
「まあ、俺はそんな美蓮が好きだけどね」
「っ、」
「ほら、そーやってすぐ赤くなるとことか」
ズルい。そんな言葉で惑わせるなんて。
どれだけわたしがその言葉たちにドキドキさせられているのかなんて知らないくせに。
いっつもユウは余裕そうに笑うんだ。
それが、ムカつく。
いつもわたしばっかりドキドキしてる。
「か、彼女がいるくせにそんなこと言わないで……!」
そういって、ユウの胸元を押して、家から飛び出した。
だって、このまま一緒にいたらきっと翻弄されてもっと好きになってしまうと思ったから。
彼女がいるくせに。
好きって言ってくれないくせに。
バカバカバーカ!
幼なじみだけどユウの考えてること全然わかんないよ。
そう思うのに、先程のユウとの距離や表情を思い出し、体温が二度ほど上昇したのは全部ユウのせい。