「じゃあ、お言葉に甘えて……」
結局わたしは先輩に甘えることにした。
先輩は優しいから会話がなくならないようにたくさん話題を出してくれて、家に着くまで退屈せずにむしろ楽しんで帰ることが出来た。
「それじゃあ、また連絡するね」
「はい。ありがとうございました。
気をつけて帰ってくださいね!」
そう言って、手を振って先輩の背中を見つめる。
先程、お互いの連絡先を交換した。
これから委員会で一緒になるし、連絡先は知っている方がいいということで。
先輩のアイコンが映っているスマホの画面をジッと見つめていると後ろからグイッと手を引かれた。
当然、わたしの体はバランスを崩して後ろに傾いた。
だけど、転ぶことはなく、誰かに後ろから抱きしめられた。
ふわっと鼻を掠める大好きな匂い。
誰かなんて、見なくたってわかる。
「遅い」
───……ユウだ。
耳元で紡がれる言葉。
たったそれだけなのに意味もなくわたしの鼓動は大きく高鳴り始める。



