幼なじみはわがまま。




午前の授業とお昼休みが終わりかけの今。


「美蓮ちゃん」


聞き覚えのある声に思わず視線をそちらに向けた。


「ユウ?」

「英語ノートありがと」

「あ、うん」


それだけいうと、ユウは彼女の元へ行ってしまった。


彼女は別のクラスで休み時間やお昼休みにはユウのところにきている。


そして、二人がいま仲良さげに会話をしている。


あーあ、なんであの子なんだろう。


どうして一番近くにいるわたしじゃないんだろう。


胸の中にふつふつと湧き上がってくる黒い感情を必死に抑え込む。


ユウが彼女の髪の毛をすくって触る。


やだ、触らないで。


そんなこと思うなんて、彼女でもないのにおかしいよね。


「美蓮ー!」

「ん?」

「橋本先輩が呼んでるよ!」


橋本先輩……?


えっと……だれ?


わたしはそこまで記憶力が悪いわけではない。


でも、本当にその名前に聞き覚えがない。
入口の方を見ると、そこには見るからに爽やかそうな黒髪イケメンの男の子が立っていた。