「はぁ、なんだかんだいって今日もかっこよかったなあ」


こんなこと、絶対に本人の前では言えない。


だって、調子に乗るのが目に見えているから。


ユウはいつだってズルい。


彼女がいるくせにわたしに構って甘えてくるんだから。


いったい、彼が何を考えているのかわたしにはわからない。


いくら幼なじみだからといってなんでもわかるわけじゃない。


ユウが何を考えているのかそれがわたしにわからなくたって、それでも


「……好きなんだよなぁ」


自分でも訳がわからないくらい好きなんだよ。


ユウにキスされた額を触ってみる。


もちろん彼女にもしているんだろうな……おでこだけじゃなくて、唇にも。


そう思うと、胸がズキンと痛んだ。


わたしだけじゃない。


むしろ、ユウの一番大切な人はわたしじゃない。


わたしがどれほどユウに夢中で好きでも、この恋は叶わない。


それが痛いほどわかっているのにどうしても離れられない。


いったい、いつになったらわたしを見てくれるのかな。


そんなこと考えながら口元までお湯に浸かった。


明日、ユウのこと起こしにいかないといけないから早く起きなきゃ。


お風呂から上がったあと、いつもなら7時にセットする目覚ましを6時半にセットして眠りについた。