急いだ甲斐もあって、少し

早めに学校に到着した。

新学期が始まる前、1度お母さんと

中学校を見学していろいろ教えて

もらっていたからか、案外

すんなりと教室まで行くことが出来た。

「佐々木サクラ」と名前が貼ってある

私の席に座ると、私のことを知らない

クラスメートから目線を浴びる。

…なんだか有名人になった気分。

そうして少し浮かれていると、

教室の後ろのドアが大きな音を

たてて開いた。

教室に入ってきたのはもう見るからに

The・中心って感じの女子のグループ。

その中でも特に目立っていて、

リーダーのような存在の子は

黒くて長い髪を高い位置で1つに

結んでいた。

きりりとした眉毛に、はっきりとした

目鼻立ち。

誰が見ても「美人」と思うような顔。

すらっとした手足はどこかの

モデルを思わせた。

「涼風ゆりか」

それが……あなたの名前。