真新しい制服。真新しいバッグ。

見慣れない私の姿。

私、佐々木サクラは今日から

新しい中学校に転校する。

中学3年生で転校なんて正直、ださい。

っていうか恥ずかしいし。

どうせならもっときりがいい所で

転勤して欲しかったなんて、お父さんには

言えないけど。

「サクラ、早く準備しちゃいなさい?
今日から学校でしょ、いつまでも春休みでは
いられないのよ?」

なかなか部屋から出てこない私をせかす

お母さんの小言に

「わかってるってば。」

と一言だけ返事をする。

あぁ、早く準備しないと…。


なんだかんだしながら、朝ごはんを

急いで食べて歯磨きをして

前の中学よりも10分早く家を出た。

それぐらいしないと間に合わない。

友達もいないのに遅刻したら

目立っちゃうから下手に遅れるのはまずい。

そう思った私は、坂道でペダルをぐんと

漕いだ。