愛のかたち

『咲貴ちゃん、俺と一緒に帰ろうよ。送るから。』

俊くんは右手でわたしの左手首を握って言った。

でも、わたしは黙っていた。


友美もいるし、俊くんと帰ることは絶対に無理だから。

すると俊くんは手を離し、わたしの首元を横からギュッと抱きしめた。



『約束する。さっきみたいなことは二度としない。さっきだって無理矢理絡まれてて、抜けなくてキレたらやっと抜けれたんだ。絶対大切にする。まだ考えれないなら一緒に帰るだけでもいいから。』

わたしの右耳の後ろくらいから言われてゾクゾクっとした。

どうすればいいかわからず、とりあえず

『俊くん、離して。』

冷静を装って言った。



俊くんは手元を緩めてゆっくりと離れていった。

『一緒には無理だよ。友美がいる。あと、そのことはまだ考えさせて。ごめん。』

そう言ってわたしは勢いで立ち上がった。


ここにはいれなかった。

わたしは昔からだけど強くガンガン押されるとなびいてしまう。

特に自分がいいと思っていると。

俊くんがさっき女の子たちと楽しそうにしていたのはすごく嫌だったけど、目の前で見せてくれる内面もタイプなのは間違いない。

こう、ずっと押されるとわたしは『うん。』と言ってしまいそうな気がして・・。


すると俊くんはまたわたしの左手首を掴んだ。



『夜、電話する。』

そう言って手を離した。


わたしは何も言わず黙って頷いて歩き出した。

原口さんの方に暫く歩くと姿が見えた。

原口さんはタバコを吸いながら岩場で何かを見ている友美と拓也くんを見ていた。