愛のかたち

友美の必死の運転のおかげでサバイバーに無事についた。

途中ハンドルがクネクネ曲がったりしてヘナチョコな運転に二人で大笑いしていた。


今、わたしたちは何があっても笑うという楽しいお年頃。



友美は疲れた表情で

『帰りは咲貴が運転だからね!!』

強い口調で言った。



わたしは、わかったわかったと言ってガラっと店のドアを開け中に入った。

忙しそうなおばさんの店員のいらっしゃいませ。という声が聞こえる。


お昼どきとのこともあり、会社員や同じ高校生などで結構賑わっていた。

サバイバーでは窓側の奥に座り、わたしはから揚げ定食、友美はカレーを食べた。

そこでも友美は拓海のことばかり。


拓海には今、大学生の彼女がいてそのことを言ったのに友美は悔しがるばかり。



『拓海は無理だって。あいつ年上好きだもん。』

友美は拓海のことは憧れなだけで、好きではないと思うが、拓海が振り向くならどんな男と付き合ってても別れるといつも言う。

友美は綿菓子みたいにフワッとしていて誰が見てもかわいいと言うだろう。

パーマのかかった茶髪がすごく似合う。


拓海も友美みたいな子に好かれると悪い気はしないだろうが、実際拓海は本当に年下に興味を示さない。

『拓海なんてやめて、いい人さがそうよ。』

今までに何度この言葉を言っただろう。



その時、知美の携帯が激しい洋楽の着うたを鳴らした。

友美は電話に出て話していたが、その会話のテンションからするとたぶん女だろう。

誰もがあるとは思うが、友美も異性と同姓だとちょっとテンションが変わる。

男のときは楽しそうに、女のときも楽しそうだが話し方が違う。

やっぱり女同士となるとちょっと毒舌。




電話を切った友美はジッとわたしを見つめて

『咲貴~!なんか今日地元の友だちが飲み会するらしいんだけど一緒行かない!?友だち1人誘ってって言われちゃってさ。お願いっ!!』

そう言って手をあわせながら上目遣いでわたしを見た。

わたしも所詮普通の女子高生だし男の子の出会いは欲しい。

『暇だしいいよ!!』

とびっきりの笑顔で長いストレートヘアをかき上げながら返事をした。