『どんな人?』

俊くんが肘をついて親指を曲げたところにアゴを置き、こっちを見て言った。

わたしはその姿にまたもやドキッとしてしまった。


ほんとにタイプの顔なんだ。

このビー玉のようなクリクリした目でスラッとした鼻、ちょっと厚めの唇はかなり整っている。

原口さんもかっこいいが、たぶんこの先もっと俊くんはかっこよくなりそうな気がした。

でもドキッてなんてもうしたくないのに・・・。


『バイト先の人。』

そう言ってまたお冷を口にした。

『さっきの人!?』

恵介くんがちょっと大きな声で言った。


あ、そっか。さっき見られてたな・・。



わたしはそうだよ。と言った。

憧れているのは本当だし、嘘に嘘を重ねるのもしょうがないと思って。


『まじかよー、すっごいイケメンだったもん!!年上だよね?』

恵介くんがちゃんと顔つきを見てたんだとここは少しだけ感心した。


『へぇー。イケメンだったんだ。』

俊くんも恵介くんのほうを見て言った。

『うん、2こ上。てかもうわたしの話はいいよ。』

そう言ってわたしは笑った。


俊くんの目の前にあるポテトは空になってたけど、話はまだ続いていた。

それからは恵介くんの話がほとんどだったが、どう考えても勘違いな武勇伝だ。

あのお笑い芸人がやっているかのような。



時計はもう12時半をさしたころ、わたしの携帯が鳴った。

相手は友美。

一応席を立ち、会計のところらへんで話をした。

内容はあのかわいらしいウエンツ似の男ともう別れたということだった。

『何日続いたの?』

と聞くと気まずそうに

『1ヶ月くらい・・。』

と言っていた。

やっぱり・・・友美はいつも男を見る目がない。

恵介くんもだけど、ウエンツ似だって、友美に金を借りておいて、貸す金がなくなると他の女のところに行ったらしい。

金も返してもらえず、早く別れられてよかったと言う友美が少しわからなかったが、とりあえずわたしも早く別れられてよかったんじゃない?とオウム返しで言った。