『は?』

わたしはまたもや一言の疑問系で返してしまった。

『顔がね。』


『そうなんだ。』

わたしはそんなこと言われても反応に困るだけ。

『だから・・その、誘ったりしたんだ。最初見たときは愛子━━・・あ、いとこね。いとこに似てると思ってすっごい乗り気なったけどやっぱ違ったっていつだったっけか、ふと思ったんだ。』

こんないきなりカミングアウトが待っているなんて思ってもなかった。

『そうなんだ。そりゃ、ね。当たり前じゃない?』

そう言うとそうだね。とまた微妙な表情で笑ってた。

これでわたしを誘っていた謎が解けた。

こんな理由でわたしはその時々にドキドキしていたなんてすごくバカらしかったな・・・。

『咲貴ちゃんと出会った日、迎えに来てもらったのはホントはいとこなんだ。遠くまで行けば来てくれるかなって思ったから遠いけど送ったんだ。』


その言葉でこの前、微妙な表情を浮かべてお兄さんと言ったんだね。

『そしてあの時のカラオケ言ってる時、メールで好きな人が出来たって打ち明けられた。だから俺暗かったっしょ??あんときはごめんね。』

明るくちょっとだけ目頭を下げて悪びれたように謝られた。

『気にしてなかったし、いいよ。』

この言葉以外に思い浮かぶ言葉、言う言葉はなかったと思う。



その時、恵介くんが戻ってきた。

今度はなぜかわたしの話になってしまって・・・。



『咲貴ちゃんは好きな人いるの?』

恵介くんが聞いてきた。

本当はいないのだがなぜかそのとき無性にいる。と嘘がつきたくなってしまった。


『いるよ。』

ニッコリしながらわたしは言った。

我ながら女優だなと思った。

なぜ嘘をそのときつきたくなったのかはあまり今でもわからないが、多分さっきの俊くんのカミングアウトが悔しかったんじゃないかと思う。

『まじかー。でも彼氏じゃないんなら立候補しちゃおうかなー。』

恵介くんが言った。

あんた、さっきまで幻滅するような発言を散々しといてわたしが振り向くとでも思ってるの?

言いたくなったが笑っておいた。