『俊、いつからいたんだ??』


わたしだけが俊のいる方角を向いて座っているのに全く気付かなかった。

それだけ・・・話に落胆していたんだ。



『俊には結婚してほしい方がいる。から聞いてた。その話も東京も初耳だし、俺は絶対行かない。そしてそんな知らない奴とも結婚はしない。』


そう言いながらこっちへ歩いてきてわたしの横に座った。


『この前も言ったけど、咲貴と一緒にいれないんだったら勘当してもらっても構わない。跡継ぎは晃がいるだろ?俺は大学にも行かないし、言うことも聞かない。』


そう言うと立ち上がってわたしの手を引いた。


そのままお父さんやお母さんの制止の声も聞かずに玄関に向かった。



『俊、後悔するのはお前なんだぞ??』


『知るか。ほっとけ。』


そう言ってそのまま玄関を出た。


そして原付で来たのに俊の車のとこまで引っ張られていく。


『待って。てか、ここにいるのが何でわかったの??』


そう言うと俊の動きが止まった。

わたしのほうを振り向き


『咲貴、ごめんな。きついこと色々言われて。気にすんなよ。何でわかったかは晃って弟がいたろ?あいつが教えてくれたんだ。メール届いて驚いてすぐ早退してきちゃったじゃねーか・・・。』


『そうなんだ。ごめんね、勝手なことして。ただご両親にお金で動くような仲じゃないってちゃんと言いたかったの。』


下を向いてわたしは言った。

勝手なことして申し訳ない。


『俺は嬉しかったよ。』


そう言うとまたわたしに背を向けて歩き始めた。


『咲貴の心からの本音を知れたし。ありがとな。』


そう言うと車の鍵をキーレスで開けた。