『前も言ったように俊にはやはり韓国の方をというのがわたしたちの意見なんだ。咲貴さんは男性に不自由はしないでしょう。その容姿なら。』


『そういう意味じゃなく、わたしは俊くんじゃなきゃダメなんです。話を聞いてほしくて今日は来ました。聞いてもらえますか?』


そこでわたしは俊と一度別れたこと、ずっと忘れられなかったこと、その時付き合ってた人が別れさせたのは間違いだったと言ったこと、再会した瞬間やっぱり好きだと実感したこと、それから今一緒に住んでいるに至るまでを話した。

順を追って。


本当にわたしたちが好き合ってるということを伝えたかった。

金で解決できるくらいと思われてたのが嫌だったから。



『咲貴さん、俊のことを好きになってくれてありがとう。』


お父さんが話し終わるとゆっくり言った。


『でも俊にはいずれわたしの会社を継いで欲しいと考えている。日本にもある会社だが韓国にもある。そうなると韓国とゆかりのある方のほうがいいんだ。ただ付き合うだけなら構わない。でも後々を考えると今の楽しさを早く切っておくほうが君のためにもなるんだよ?わかるかい??』


会社を継ぐ・・・??

何で??ニートじゃなかったの??


てか俊、思いっきり高卒なのに大丈夫なの??


『咲貴さん、俊には結婚してほしい方がちゃんといるの。その方と早めにお付き合いをしていて欲しいから・・あなたには手を引いて欲しいわ。あなたの両親も日本の方とお付き合いしたほうが安心されると思いますよ。』


両親は落ち着いて話していた。

俊に婚約者がいることも。



『俊は来年から大学に入ってもらうんだ。東京の。どうせ遠距離になるんだから早めに別れておいたほうがいいと思うが。』


と、東京??

新幹線でも飛行機でも時間かかっちゃうじゃん。



『あなたにはもっとふさわしい人がいるわ。俊はあなたとは・・・』


『勝手なこと言わないでくれる??』


声の方を見るとリビングの入り口には俊が立っていた。