愛のかたち

玄関から離れるとき、もう一度振り返って部屋を見た。

あ、トトロ。

置いたままになってる。


あのトトロも・・・大切な思い出。

わたしの大切なものが詰まってるぬいぐるみ。


でも・・俊のところに行くからわたしの荷物の中に入れなかったんだろうな。

元彼のプレゼントを大切にするわけにはいかないから。


トトロ、孝浩くんと一緒にいてあげてね。


そう思ってわたしは玄関から出てドアを閉めた。


そしてまた振り返り、ドアを見つめた。


このドア、こんなにサビてたっけ??


ほとんど笑いながらドア開けてたから気付かなかった。


辛いわたしを支えてくれた一つのこの家、ありがとう。


ワガママの使い方を知らない女だって、あの時孝浩くんは言ったよね。

わたしはきっと今日、人生で最大のワガママを使うんだと思う。

そして、いつもわたしのことを1番に考えててくれた孝浩くん。


本当にありがとう。

きっとこの感謝の想いは一生忘れない。




廊下を歩き、階段を一歩一歩降りて俊のもとへ歩いた。


俊はまた助手席のドアを開けて待っている。


『逃げないよ。ここまでされると逃げる気はしない。』


『ここに残りたいって言っても残さないけどね。』


唇をとがらせて言う俊。


『そんなこと言ってないじゃん。』


そう言ってわたしはドアを閉めた。


俊が運転席にまわってるとき、もう一度アパートを見た。



もう、ここに来ることは二度とないんだろう。


見納め。