愛のかたち

『もちろん。俺は悪いけど絶対に賛成しない。絶対この意見は変わらない。』


そう言うと沈黙になってしまった。

考えろと言われているような沈黙。


わたしはコートの裾を握り締め、歯を食いしばった。


思い出すことは俊と行った海。

そしてバイクに乗って騒いだ日々。

プライベートハウス、初詣、そして俊の涙。


覚悟して話してくれたのにそのことで別れたほうがいいって言われるなんて・・。


『咲貴ちゃん、泣かないでよ・・・。ちょっと飲み物買ってくるから。』


わたしはいつの間にか涙を流していたらしい。

考えれば考えるほどわたしの視界は涙で悪くなってしまう。


別れたく・・・ないよ・・・。

俊と離れたくなんてないよ・・・。


ガチャッ。


純くんが戻ってきてわたしに暖かい缶のコーンスープをくれた。

純くんはおしるこ・・・。


笑う雰囲気じゃないからきっと素で好きなんだろうな・・・。

こんな雰囲気なのに・・・ちょっとそこにツッコミを入れたかったくらい。


『甘っ。うわ、これコーヒーじゃないじゃん!!』


『・・・・おしるこって思いっきり書いてあるよ。』


わたしは笑いをこらえきれずに含み笑いをしながら答えた。


『あー最悪。ま、いっか。おしるこを飲みたいと思おう。』


嘘だよ、純くん。

間違うわけなんてないじゃん。

わざとでしょ??

笑わせるために。

センス悪い笑わせ方だけど・・・。

今日はこれ以上考えなくていいよってことなんでしょ??


わかってる。ありがとう。


『純くん、わたしちゃんとゆっくり考える。』


『ん、そうだね。まだ知香ちゃんや理沙には言わないほうがいいんじゃない?あいつら大騒動すると思うから。』


想像がつく・・・。

『・・・そうだね。』


わたしたちは缶のスープやおしるこを飲み干した後、家に帰った。