愛のかたち

そのとき、本当は真っ直ぐな道なのに純くんは曲がり角でウインカーを出して右に曲がった。


『ちょっと寄り道しようか・・・。』

そう言って近所にある広いコンビニの駐車場に車を停めた。

わたしはそれほど大きな問題ではないって思ってた。

でも純くんからすると大きな問題みたい。

エンジンを止めて最初に発した純くんの言葉は衝撃的だった。




『咲貴ちゃん、いい機会だよ。別れよう。彼とは。』


月明かりで浮かび上がる綺麗な顔で真面目な顔をしながらこっちを見ながら言った。


『ど、どうして?わたし・・気にしないよ。』


『彼のお父さんもお母さんも在日??そうだったら大きな問題だよ。』


そう、確か言ってた。

両方とも在日の人だって。

でも大きな問題ってなに??


『どうして?』


『やっぱりそうなんだね。あのね、韓国の人は日本人を基本的に嫌ってるのは知ってる?』

『テレビとかで・・・見たことはある。』

『全員が全員嫌ってるわけじゃないよ。日本にいたこともあるし彼の親は嫌ってないかもしれない。でも、韓国に両親が帰ったってことは韓国にいずれ彼を呼ぶかもしれない。そして、韓国の人は大体日本人と付き合うこと、結婚を嫌う。風習だって違うんだよ。』


見たことある。

ドラマ。

確か日本人の男の人を在日の女の人が好きになって・・・親に反対されて同じ在日の人と結婚させられようとしてたやつ・・・。


『でも・・わたしは俊のことが・・』


『だから今のうち。彼は在日の事実を話したってことは咲貴ちゃんと一緒にこれからもいたいってことだろ?もう早く切ったほうが後々楽だよ。』


そんな・・・。

いや、でもそんなことないかもしれないじゃん。

俊の親が日本人大好きってことだって考えられるじゃん。


でも、純くんの本気さが伝わる。

真っ直ぐ見る目。

『純くん・・・本当にそう思うの?』