『ここの家は俺の本当の親の友達である4人の家。そして俺は居候。咲貴、大丈夫??』


『え、あ・・大丈夫。』

わたしがあまりに驚いた顔をしてたんだろう。


『産まれた頃から日本にいるから韓国語は喋れないし、韓国が懐かしいとも思わないよ。でも、国籍は韓国。咲貴に・・・もし偏見があったらと思って言えなかった。在日ってことが。ごめん。今年のうちにやっぱり話したかったんだ。』


『え、俊の親は韓国にいるの??』

『うん。俺の祖父母が敗戦後に日本に来て、親が産まれて俺が産まれた。でも、親は祖父が死んだのと同時に韓国に戻ったんだ。俺は学校があったし、日本にいたかったから親の友達であるこの家の人に頼み込んで置いてもらってる。そのかわり、家のことに一切干渉しないという約束で。高校もちゃんと行かせてもらって専門学校も・・。でも何してるのかは知らない。前にさ、姉貴が部屋の外で何か言った後、俺が咲貴を家に送ったの覚えてる?あのとき、姉貴は”ったく、居候のくせに。”って言ったんだよ。聞こえてなかったでしょ?』


頭の中は真っ白だった。

でも・・韓国人だろうが、日本人だろうが・・俊は俊なんだよね??

辛そうな顔をしてるのはわたしの反応があまりないからだよね??

わたしのせいだよね??


『俊、わたしは俊のことが好きだよ。在日とか別に気にしない。』


そう言うと俊は・・・涙を流した・・・。


『よかった・・・。』


そう言って。



わたしは思わず俊を抱きしめてた。


俊の陰は・・・この家庭のことだけじゃなかったんだね・・・。


そういう意味だったんだ・・・。