『咲貴ちゃん、全部話そうと思うけどいいかな??』


改まったかのような声で俊くんが言った。

強い表情、そしてギュッとポケットの中で握る手。


何かちゃんと話したいことがあるんだろう。


大体のことはわかっていたけど、わたしはうん。と言って話を聞くことにした。



『最初からね。俺さ、フラれた時愛子に見せ付ける為って言ったじゃん?あれは嘘です。ごめんなさい。』

『知ってるよ。最初はホントなのかなって思ってたけど、いっぱい俊くんのこと知るようになったらそんなことする人じゃないってすぐ気付いたし。』


実際は愛子ちゃんのそんなことするはずはないっていう言葉が気付くきっかけになったのだが、それは伏せておいた。


俊くんはこっちを見らず、目の前にある河川敷を見たり、下を見たりとあまり落ち着いた感じではなかった。


『そっか。それならよかった。あの時、強がることしか頭になくって。本当はショックだったんだ。』

『━━うん。』

すると次は俊くんは上を見上げた。


落ち着きがないなぁと思いながらも次の言葉を待った。


『愛子━・・のことだけど、あいつにはひどいことしてフラれたんだ。』

『うん。』

『俺、あいつのこと押し倒して・・その・・・無理矢理しようとして━━。』

『うん。』

『それでこっぴどくフラれて、嫌われた。今は見ての通り復活してるけど。血縁関係のお陰でかな。バイトも一緒になったし愛子はあの通りサッパリしてるからあんまり気にしてないみたいだし。』


笑いながら言った。


『うん。』