『俊くんに恵介くん、久しぶり。』


わたしは何もなかったかのような笑顔で2人に言った。


戸惑っている恵介くんの表情。


その横の俊くんはすぐに口を開いた。


『友美ちゃん、ごめん。今日だけ咲貴ちゃん貸してね。』


そう言って強引にわたしの手を引いた。



どんどん遠ざかる友美を見ると友美は黙ってわたしを見て頷いていた。


なんの頷きなんだよ・・・。

ギャル系のクラスメイトはは恵介くんやあと1人にベタベタしていた。

恵介くんも慣れた感じで馴れ馴れしく話しているのが見える。

相変わらずだね、女好きなところ。


そう思いながらわたしは無言で俊くんにズンズンと引かれた。


沈黙。


お互い言葉が見つからないような空気。


ただでさえ寒いのにまた更に寒くなった気さえした。


わたしは前にいる俊くんの後頭部を見つめて口を開くことにした。


『俊くん、ごめん。いきなり辞めちゃって・・・。』


すると俊くんは振り向き、立ち止まった。


張り詰めた空気。


心臓の鼓動が聞こえそうでこわかった。


『携帯・・。変わったでしょ??なんで連絡くれなかったの??』


張り詰めていた空気は更に重みを増した。


『ごめんね・・。あのね、孝浩くんと別れたの。そしてバイトも辞めて。』


『で?』


『連絡先教えなかったんじゃなくって、教えられなかったの。』


『なんで?』


『連絡先がわかると連絡取りたくなっちゃうから・・・。もう俊くんにも孝浩くんにも辛い想いさせたくないから・・。』


俊くんの姿を見てホッとしたから??

俊くんが来てくれたから??


わからないけどいつの間にか泣きじゃくっていた。