『知らない奴に犯されかけて、抵抗したら殴られたの。』


すごく簡潔に言った。

この冷たい視線に負けないように、わたしも孝浩くんの目を見上げながら。


『犯され・・??お前・・最初から説明しろよ。尾上がどうせ絡んでんだろ。』


わたしはこの言葉でつい、目線をそらしてしまった。

図星だったから。


わたしはバイクの方に歩き始めた。


全て、正直に話しながら。


孝浩くんは言葉はもちろん、相槌ひとつ打たずに黙っていた。


わたしはもう黙っておくことができず、昨日また告られたこと、キスされたことも話した。


全て、隠さずに。


『それは、さっき尾上から聞いた。だから俺殴ったんだよ、あいつを。』


いつも冷静な孝浩くんが殴った理由が今、わかった。

わたしはてっきり・・この傷は俊くんからつけられたものだと勘違いしてたからと思ってたのに。


『聞いたって・・何を??』


わかってたけど・・不安がって聞くと孝浩くんは不機嫌そうに


『だからキスしたってこと。てか、お前はどうするの?別れるの?別れないの?その話だろ??』



その後に発された言葉はこれだった。

自棄になっているような言い方だった。


『まかせるよ。孝浩くんに。』


わたしはそう言い放ち、孝浩くんを見た。

ここ最近、わたしの好きだった笑顔を見ていない。


やっぱり今日も冷たい、そして怖い顔をしていた。