ガチャッ。


『咲貴~おつかれ・・・えっ!?咲貴どうしたの!?口!!!』


愛子ちゃんが騒々しく入ってきてしまった。


絶対男のロッカーの方にも聞こえてる。


『お疲れ様です。これ?ぶつかったんです。』


わたしたちの声を聞くように男のロッカーのほうはシーンとなっていた。


『ぶつかったってー!?何やってんの!!痛そうー・・・』

愛子ちゃんは近寄り、わたしの口元をまじまじと見ながら言った。

目を細めて、まるで可愛そうな人を見る目をしながら。


『あんまり痛くないけどね。先行くね。』


わたしは逃げるようにロッカーを出た。

でも運が悪かった。


出た瞬間、坂上さん、俊くん、そして孝浩くんとちょうど鉢合わせしてしまった。



『あ、お疲れ様です。』


わたしはその言葉を誰の目も見ずに発した瞬間3人より前をグングン歩いた。


『待って。』

そう言って後ろから走ってきたのは俊くんだった。


わたしは立ち止まらず歩いたが走ってきたのですぐに横に並んだ。


後ろには孝浩くんもいるのに。


わたしは無視するかのように歩いたが俊くんがわたしの目の前で行く手を塞いだ。


よけて通ろうとするわたしの顔を覗き込みながら


『あぁ、ごめんね。まだ腫れてる・・。』


余計な言葉を発した。