『原口さんとあんな状態だから俊くんの方に行っちゃったんだよ。まずは仲直りしてみなよ。それから考えればいいじゃん。本当に好きなのはどっちなのか。』


友美は責めなかった。

”原口さんが可愛そう。”

とかきっと言われると思っていたのに。

いや、きっと前の友美なら言ったとおもう。


拓也さんと付き合ってからの友美はどこか穏やかになった。


恋は人を変える。

この言葉は本当だと思う。



『うん、そうだね。今日ちゃんと話すけど・・ちゃんと説明したがいいよね??この顔・・・。』

わたしは手で口元をさすりながら言った。


『そうだね・・。俊くんが言うかもしれないから嘘はやめといたがいいかも。』


目線を下に逸らした友美は言った後に唇をかみ締めた。


昨日のことを言わないほうがいいけど言わなきゃいけない状態が友美からしても嫌だからだろう。




わたしは言うということを決め、その日の学校生活を送った。

人からかなり注目を浴びていたが、孝浩くんへのこの傷の話の切り出し方などを考えていたのでさほど気にはならなかった。

結局、頭の中でまとまることはなく、時間だけが刻々と過ぎていった。


時計の進むスピードが速いとこれほどまでに思ったことは初めてだった気がした。


バイト先の入り口まで考えたが、結局まとまらず、もう流れに乗っちゃおうという決断を下し、ロッカーへ入った。

運がいいのか、ロッカーまでは誰にも会うことがなかった。