愛のかたち

バイトが終わり、俊くんは足早に店を後にした。

愛子ちゃんも何かあると勘付いていた。

『俊、おかしくない?いつもなら下でタバコ吸って話して帰るのに・・・。いないし。さっきの奴らと関係あるのかな??』


不安そうな顔をしていた。

『そうだよね・・・。わたしも思ったんだ・・。』

そのときだった。


『咲貴、あれ原口さんだよ。』

愛子ちゃんの目線の先にはケータイをいじりながら壁にもたれている孝浩くんの姿があった。

わたしは俊くんを心配しすぎてて孝浩くんの姿が目に入っていなかった。

早く公園に行かなきゃという考えしか頭になかったから。


そう、わたしは昨日の公園に行く気満々だった。


わたしは愛子ちゃんにバイバイ。と言って孝浩くんの方に行った。

そして孝浩くんの目の前で立ち止まった。


『わたし、用事あるんだ。』

冷たく、目も見らずに言った。


『何の?』

負けじとすごく冷たい言い方が返って来た。

表情は見てないけど冷たい表情だっただろうと思う。


『別に。大した用事じゃない。てか・・何してるの??』

俊くんのことだということは口が裂けても言ってはいけないだろうと思って話を変えた。


『話しようかと思って。』

『今日、打ち上げじゃなかった?だからバイト休みとったんじゃなかったっけ?』

『行ってない。そんな気分じゃなかったし。』

『そうなんだ。わたし、約束あるから行くね。話、明日でいいでしょ?』

『わかった。』


そう言って孝浩くんは車の方に戻って行った。

その姿を見てわたしは急いでバイクを置いてあるところに行き、この前あの3人と会ったあの広い、薄暗い公園を目指して飛ばした。


信号で止まっている車の横をすり抜け、30分ほどしたらその公園に着いた。