愛のかたち

ギイッ

俊くんはパイプ椅子に座った時に音がした。

そして持っていたCDを見ながら書き始めた。


手にはMONGOL800の出たばっかりのアルバム。

『俊くん、好きって言ってたもんね。聞いたんだ、それ。』

『うん、買った。咲貴ちゃんも好きだったよね??』

『うん。好き。』



その言葉で会話は終わった。

この曲のフレーズで手を繋いだりしたこととかをお互い思い出したのだろう。

やはりどこかぎこちなかった。


『原口さんとどうなった?ごめん・・。俺のせいで。』


ぎこちない雰囲気の中、俊くんが口を開いた。

『俊くんのせいじゃないよ。大丈夫。気にしないで。』

俊くんの方を見らず、書きながら言った。


それで会話は終わり、わたしたちは無言で書き続けた。


『ね、俊くんとタメの直哉って人と、たっちゃんって人と豊って人、知ってる?』

チラっと俊くんの方を見て言うと、俊くんは書いていた手が止まり、驚いたようにこっちを見た。


『なんで知ってるの?知り合いじゃ・・ないよね??』

『いや、昨日うちの先輩に無理矢理頼まれて行ったらその人がいたの。』

その瞬間だった。

俊くんはガッとわたしの肩を掴んだ。

驚いているわたしに真剣な顔をして

『二度と会っちゃだめだから。あいつらとは絶対関わらないで。ほんとにこれだけは約束してほしい。』

目をジッと見つめられて言われた。

わたしはあまりの迫力にわかった。としか言うことができなかった。


その瞬間手は離れ、またさっきみたいに俊くんは座りなおした。


『でもね、なんか俊くんに近いうちにまたって伝えてって言われたんだ。』


『・・・わかった。咲貴ちゃんはこれ以上関わらないで。その学校の先輩って人ともあんまり関わらないほうがいいと思う。あいつらと繋がってるんなら・・。』


なにか色々あるんだろうと思ったが聞くことは出来ず、またわかった。とだけ言ってわたしは紹介文を書くのに戻った。