孝浩くんは周りを見ながら

『可愛いだろ。』

そう言ってわたしの腰にグイッと手をまわした。


孝浩くんは知り合いの前とかではベタベタしない人だと思っていたわたしはその行動に驚き、孝浩くんを見上げた。

周りからは

『調子のんなってー。お前に彼女がいるとは知らなかった・・。』

『うぜーお前・・。』

などと野次っぽい声が飛んでいた。


でも女の人たちはコソコソとこっちを見るような感じ。

きっとサークルで人気なんだろうな。

そりゃそうか、この外見だし中身も優しいし。


普通は胸張っていいのにわたしは恥ずかしくて

『どうしたの!?いつもこんなことしないのに。』

驚きを隠せず言った。

『咲貴、あっち行こう。』

わたしの驚きとは反対に冷静な顔つきで孝浩くんは腰から離した手でわたしの手を握りその場を離れた。

『わり、ちょっとだけ抜けさせて。』

周りに言うとだめだめ。と声が飛んでいたが孝浩くんも拓也くん同様、無視してわたしの手を引き歩いた。