何度か返却を繰り返した後カウンターに戻ろうと歩いていると、孝浩くんが新人さんにレジのやり方を教えていた。

近くで見ると驚くほど綺麗な人だった。

細くて、薄化粧なのに華があって、髪の毛も痛んでいない。

外見は完璧だった。


それと同時に孝浩くんがもしこの新人さんを好きになったらとか想像してしまってわたしは怖くなった。

美人すぎる・・・。



カウンターに入ると孝浩くんがすぐにわたしと新人さんに紹介してくれた。


『矢野さん。歳は俺とタメ。こっちは新垣さん。2こ下の高校2年。』

そのときに初めて矢野さんと目が合った。



矢野さんは目力もあってその美貌にわたしは惹きつけられてしまった。

『新垣さん、よろしくね。』

矢野さんは笑って言った。



『よろしくお願いします。入ってくれてありがとうございます。』

感謝を告げ、わたしは負けじと笑い返して言った。



それからはレジや返却の置き場、報告の仕方など簡単なことをわたしが教えた。


店長がわたしが女同士で教えやすいだろうからと言って教育係に使命してくれたから。


こんな美人な人と孝浩くんを一緒にしていたらわたしが気になってしまうと店長が思ったからかもしれないけど。

店長には付き合っていることは言わなくてもバレてしまっていた。

何も言われないけど。



矢野さんはすぐに仕事を覚えた。

話もおもしろくて、明るい人だった。

そして彼氏がいるということを聞いてわたしはすごく安心した。



それと同時にわたしに彼氏がいるのかと聞かれ、恥ずかしそうにうつむきながら小さな声で

『原口さんなんです。』

と言うと矢野さんは笑いながら

『勘、当たった!!』

と嬉しそうに言った。